地元で愛される老舗商業施設の未来をつくる
施設プランニング ケーススタディ

新潟伊勢丹は、1984年開店の老舗百貨店です。

郊外モール台頭や消費の多様化により、地方都市の百貨店は非常に厳しい状況のなかでも、新潟伊勢丹は地元の住人に愛されており、売上や来館客数も順調でしたが、時代に応じた変化が必要ということで、リニューアルの構想案をCPCenterで手掛けることになりました。

CPCenterは新潟·万代エリアに縁があり、ビルボードプレイス、ラブラとエリア内のSC案件に関わっており、エリアに知見があったため、エリア内で対抗しあうのではなく、万代エリアをひとつの複合施設ととらえて、エリア内の役割整理をしました。

また、地域特性や消費者ニーズを捉えるために、「従業員ワークショップ」「WEBアンケート調査」「フォーカスグループインタビュー」の3つ調査を行いました。

・従業員ワークショップ

商業施設案件で社員の方にヒアリングすると、自分の働いているお店や施設で買い物をしていない、という返答があります。「自分はターゲットではないから」「自分にあったものはないから」など理由は様々です。従業員である自分と生活者である自分を切り離して考えているので、この街で暮らすひとりの生活者として、どういう日常生活行動であるのか、普段の消費行動やどういう意識があるのかをワークショップ形式で抽出します。

 

WEBアンケート

万代エリアで買い物をしている方々に対して、どういう生活行動や消費行動、意識があるのか、オンライン上で幅広い方々に回答していたいただき、分析を行いました。また住居や年齢、普段の消費意識や行動からセグメントして、イメージしやすい人物像をクラスターとして抽出し、万代エリアの生活者イメージをプロジェクトメンバーで共有しやすくします。

 

・フォーカスグループインタビュー

ワークショップやアンケートでてできた実態をより深掘りするために、未婚グループ、既婚子供ありグループ、育児卒業世代グループ、男性グループなどに分けて、普段の過ごし方や外出の実態、お金をつかっていること、興味あること、新潟のエリア別のイメージや利用実態など、ファシリテーターがインタビューします。

地域特性や消費者分析をすると、新潟の方々は他のエリアと比べて「家時間」が長いことに気づきました。1年のほとんどが曇っているという新潟。冬季は降水量も多く日照時間も短い。そして雨や雪も多いので、どうしても家時間が長くなるかと思います。また海も近く、米も美味しい。外食しなくてもおうちでの食事が十分においしいので、外食頻度もすくなかったのです。

そこで北欧との共通点に着目しました。
北欧で暮らす人々も、日照時間が短く天気が悪い中で家時間を充実させて、日常の中で幸せを感じる暮らしをしています。そこから、デンマーク語での居心地の良い時間や体験、くつろぎの雰囲気を表現する言葉の「HYGGE」をリニューアルのキーワードとして設定しました。

家ではできない「家」の体験ができる場所になる。
暖炉やテーブルをみんなで囲うことで自然とコミュニケーションの輪が広がる。家のようにくつろげる空間にいながら意見や交流のある理想の過ごし方を提供しよう、という提案をしました。

そこからコンセプト「SOCIAL HOME DEPARTMENTSTORE」と設定し、館の中で展開するMDやコンテンツは「こだわり磨く時間」「ぬくもり作る時間」「つながり会う時間」に当てはまるもので展開するという提案をしました。
また環境デザインについても、北欧のモチーフをテーマに設定するべく、「HYGGE」の世界で展開するようなイメージをつくりました。天気が悪い北欧はこころが明るくなるような色使いが特徴なので、新潟においても、ここでは気持ちが明るく楽しくなるようなカラーリングを提案しました。

まずはお客様導線を見直すところから始め、各フロアの導線計画を設定し直しました。またフロアだけでなく、上下の縦導線をつなげることが重要と考えました。

かつて百貨店は最上階の催し物からのシャワー効果といわれていましたが、中層階が分断され、目的のフロアだけで完結するお客様も多く、お客様にとってフロアをまたぐ行動がされていなかったり、目的の場所だけにしか訪れないことが多かったので、フロアの中心に「サークル」という核をつくりそこから波紋のようにフロア全体に広がり、それが縦導線に連動している環境計画とMD計画を提案しました。

1F Circle DANRO

新潟伊勢丹を万代エリアの「過ごす場」と設定していたので、かつて靴売り場だった吹き抜けの気持ちのいい空間をホテルのラウンジのようなイメージでだれもが気軽に使える場所にしました。暖炉を囲んで人が集まるイメージで、サークルダンロとネーミングしました。

Before

After

地元のコーヒーロースターを挟んで、左右に地元の有名洋菓子店とPOP―UPショップを配置。POP-UPスペースは百貨店クオリティで、とらややDEANDELUCAなど人気ブランドが期間限定で展開しています。

1F 越品

Fのサークルダンロからエスカレーター挟んだ反対側には、新潟伊勢丹ならではのオリジナル売り場である越品を展開。新潟の価値をさらに高めたいという思いからスタートしたプロジェクトです。地元の人たちは気づいていない、しかし新潟らしさのある新潟の食や工芸品を集め、地域の新たな魅力を発信しています。
「想像をこえる、新潟がある NIIGATA 越品」というタグラインがあったので、越品の「越」=こえる、すぐれるをイメージした象徴として「ARCH」を環境コンセプトとして提案しました。

2F Circle BEAUTY

デパートならではの対面接客が苦手なZ世代にむけて、セミセルフで自由にえらべて試せるコスメ売り場をつくりました。

コンセプトは「PLAY room 気軽にいつでも立ち寄れて、遊んでつながれる、新しいビューティー体験を楽しめる場」

F Circle SALON / Circle FIT

3Fにはエスカレーターを挟んで、サロンとフィティングの「Cicle Salom」と足に特化したサービスの「Cicle FIT

Cicrcle salonは、上質な空間でパーソナルサービスも受けられるサロン。カラー診断からフィッティングアドバイスなど、お客様により安心していごこちの良いお買い物体験を提供。
そして、どの店どのブランドの服も持ち込めて、まるで百貨店を大きなセレクトショップのように使える大きなフィッティングルームを設置。車椅子の人と、親子など複数人でも使えるダイバーシティ対応の試着室です。

Circle FIT

売り場以外の共用部も新規に見直し、新潟のお客様にとって居心地の良い過ごす場所になるように願い込めて、プランニングディレクションしました。

2020年より順次あたらしい新潟伊勢丹になっています。
コロナ渦のなかのオープンでしたが、お客様に支持していただいております。

県内唯一の百貨店として、新潟の方々に愛され支持される場所になれるように願っています。